住み替え離婚の話
ある日、お客様から建売住宅の売却依頼を受けました。 3年前に購入したばかりの住宅を手放される理由は、ご夫婦の離婚とのこと。 最終的には購入時の価格から1000万円近くも安い金額で、 売却するに至りました。
そして売主様と売却完了まで何度もお会いしているうちに、 離婚の原因となったきっかけの一つが、 3年前の建売購入だったことが解ったのです。
3年前、今までの借家(アパート)から離れた、 ご主人のご実家に近い場所に手頃な建売を見つけたご夫婦は、 その場で購入を申込みました。 奥様にも、いずれはマイホームを持ちたいというご希望があり、 本来はこれで夫婦の念願が叶った筈だったのですが、 実は奥様の方は、この建売を購入することに気乗りしていなかった、 というのが本音だったようです。 ただ、せっかくご主人が一生懸命働いたお金で、 家族のために家を購入しようとしてくれるのに、 あまり口をはさむのもいけないと思われたのでしょう。
しかししばらく住んでみると、もともと知った土地ではありませんし、 なかなか友達もできないとあって、奥様の孤独感は増すばかり。 それに加えてご主人のご実家に近いのが災いして(?)、 義理のお母さんが入り浸るハメになってしまいました。 地元に知り合いが居ればさほど苦にならない町内の行事も、 ご主人の協力が得られない形で参加していくごとにストレスが溜まり、 奥様の不満はグチとなって、ローンを抱えたご主人に日々降りかかり…、 その積み重ねから、ご夫婦仲もしっくりいかなくなってしまったとのことでした。
当社発行の「ゆうてっく通信」のコラム、 「幸せになるための住み替え術」 の冒頭は、こんなフレーズで始まっていました。
~ 決して安くはないマイホーム、 月々のローンの代償が家族の幸せに結びつかなければ住み替えは失敗です ~
まさにこのケースは、典型的な住み替え失敗例です。 ご購入前にご夫婦でもっとマイホームについて話しあってさえいれば、 奥様がこの建売を買うことはあまり気が乗らない、ということを、 ご主人にはっきり伝えてさえいれば…。 そう考えると本当に残念でなりません。
数年前のサントリーの発泡酒「純生」のCMに、こんなシーンがありました。 木村佳乃と極楽とんぼの加藤浩次が出てきて、 平屋の築30年以上経っていそうな田舎の古家を夫婦でリフォームしたり、 庭に露天風呂をつくったり。そしてコピーが、
「ぜいたくしない。でも、幸せ」
こんな住み替えができれば、本当に理想的ではないでしょうか。
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