値段交渉の舞台裏
不動産の値段交渉は、通常、直接売主と、買主が直接行うことはありません。 不動産仲介業者が、買主に代わり交渉を行います。 この値段の交渉が不動産業者のあらゆる仕事の中でも、一番困難を極めると言っても過言ではありません。 売主と買主、一方は1円でも高く売りたいし、もう一方は1円でも安く買いたいと思うのは当然のこと、一歩間違えば感情を損ね、取り返しのつかない事態にもなりかねません。
● 交渉のポイント① 本音を探る。 当事者間の交渉がうまくいかない最大の原因は、相手に本音を打ち明けることができないこと。しかし、仲介者の立場では、うまくいけば、それを聞き出すことが可能。
● 交渉のポイント② 交渉相手の立場を理解する。 自分の大事な不動産。思い入れも深いものがあります。そこを理解せず、相手の不動産や条件にケチを付けるような交渉方法では、理性はたとえ解っていても、感情が邪魔していい結果は出ません。
● 交渉のポイント③ 交渉条件は一本化する。 例えば、売買金額と、ハウスクリーニングと、襖の張り替えを売主に交渉するよりは、ハウスクリーニング+襖の張り替え分も対価に換算し、売買価格の値引き一本に絞って交渉します。
● 交渉のポイント④ 確実な(堅い)商談。 交渉は、書面(買付証明)でやるのが原則です。買付証明には、交渉内容以外に、契約日と手付けの金額を入れるなど具体化して、堅い商談であることを売主に意識付けします。
以前、ある中古住宅に、当社の買主さん(Aさん)と別の不動産業者の買主さん(Bさん)がほぼ同時に、購入申込みをしました。 当社の買主さんが出した買付証明は、別の不動産業者の買主さんよりも、購入希望金額が80万円も低かったため、一度はお断りの返事を戴いてしまったのですが、2週間位して、売主さんから連絡が入りました。
売主さん「Bさんに返事(売却する旨の)をしたのに、未だに契約日を決めてくれなくて不安なんだけど、どう思われますか?」
私「Aさんでしたら、Bさんより金額は低いですが、明日にでも契約していただけると思いますが。」
売主さん「……」
結局、翌日契約となりました。Aさんの印象が、Bさんより良かったのも売主さんの決断の決め手になったとのこと。
交渉は、直接は不動産業者がするものですが、買主さんが即決断したことと、相手に与えた印象が功を奏した一例といえるでしょう。
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