人それぞれのロケーション
物件を決める最大のポイントは、1にも2にもロケーションでしょう。他の条件を多少犠牲にしてでも、ロケーションを優先させるお客様が殆どです。
そんな中、先日ご契約頂いたお客様の話です。 物件は、広大な墓地のすぐ隣。お彼岸など天気の良い週末は、線香の香りがほのかに漂い、2階の窓からはドミノ倒しよろしく墓石が延々眼下に続く、壮大な眺め…。築年は古いものの、かなりお金のかかった建物で、物件自体はいいものなのです。しかし、そのお客さまは20代の若い方でしたので、ご案内にあたっては一抹の不安を抱えながら、ということになりました。
そして当日のこと。2階に上がられたお客様がなかなか降りてみえないので、やはりお墓が気になるのだな…、と思っていたところ、階下に戻ったお客様が一言。 「ここのお墓には、大好きだったおばあちゃんが眠っているんです」
それで長い間眺めていらっしゃった、ということなのでした。その後、物件を無事ご契約されるまでの間いろいろとお話しましたが、今時の若者、という言い方では不釣り合いに感じるほど純粋な方でした。当面は犬と2人?で暮らすとおっしゃっていました。
ロケーション。それはもしかしたら、私たちの心の中にある風景の事かもしれません。 この業界に慣れて来て、それなりの経験を積んだという自負はありますが、ともすると物件の評価が客観的に過ぎてしまうこともあるかと思います。
お墓といえば誰もが敬遠するロケーション、という思いこみについても同じです。これからも、お客様それぞれの価値観を十分くみ取って、よりお客様のご希望に寄り添って物件を見ていくようにしなくては、と思いを新たにした出来事でした。
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