過ぎたるは及ばざるが如きお話
当社では、ご購入をご検討中のお客様のため、常日頃から物件の調査に力をいれております。力を入れ過ぎた結果、「やっぱり買いません」となることも少なくありませんが、それが当社の誇りである、とまで考え、続けてまいりました。ところが先日、なんと売り主様の方から「お宅のお客さんには売りません」と言われる、という事例に出くわしてしまいました。
不動産は高い買い物ですから、徹底的に調べて納得して買いたいと思うのは当然のことです。ですが、例えばあちこちから商談が立て続けに入っている時、アレコレ執拗に調査、質問を受けていると、売り主様も人の子、だんだん不快になっていって、
「あの人だけは断ってくれ、後でなにを言われるかわからん」
ということになってしまうのでしょう。今回の売り主様には、
「後でなにか起こらないためにも調査しているのですから…」
と、誠心誠意説明したのですが、交渉は決裂状態となり、買い主様にはこの物件を諦めていただく結果となってしまいました。
今回のケースでは、中古住宅の設備に関してあまりに査定を厳しくし過ぎた…、つまり、売り主様が残して行かれる設備について、新たに取り付けた場合との価格差を細かく調査して、価格交渉をし過ぎたことが一番の原因となったようでした。 中古住宅に付帯する設備については、売り主様のご一存で、すべて撤去するも残していかれるもご自由な上、買う側の「より安く」という望みと同じに、売る側は「より高く」と望まれるわけですから、ほんの少しのさじ加減で、残念な結果となってしまうこともあります。
気に入った物件を、より安く有利な状態で購入したい、というお客様のご希望をかなえてさしあげられることは、私たち仲介業者にとっても喜びです。しかし「より安く、より有利な状態」を望めば望むほど、契約の要である売り主様のご気分を害する可能性もある、ということを肝に銘じ、適切なアドバイスを行っていかなくてはならない、と改めて思い直すきっかけとなった事例でありました。
当社では、もちろんこれからもどんどん調査を行っていきます。そして、お申し込みいただいた調査の内容については、お客様にも担当者と入念に打ち合わせていただいて、二度とこのようなことがないよう努めてまいりたいと思います。
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