付帯物の無断持ち出しはイエローカード
春といえば、卒業や入学、就職など、新しいスタートに向けてどなたも慌しい季節ではないでしょうか? 年間を通して最も物件が動く時期だけに、不動産の現場もせわしない雰囲気となります。
そんな中、ご自宅を売られたお客様。短期間に慌しく引越しをされたせいでしょうか、何を思われたか、住宅設備の一部である井戸のポンプまで持って行ってしまいました。
それのどこがいけないの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、土地の場合は立ち木やフェンス、建物の場合は屋外設備やカーテン等の備品など、不動産には大抵なんらかの付属物があります。専門用語でこれを「付帯物」といい、契約の内容に盛り込まれた物については、これを契約後に無断で持ち出したり撤去したりすることは契約違反にあたるのです。また契約書に明記がない場合でも、不動産に固定されているものは基本的に全て付帯物とみなし、特別な申し合わせがない限りは不動産と一体のものとして引渡さなければいけない、という決まりもあるのです。
つまり、先述の売り主様の行為は立派な契約違反、というわけです。
売り側にも業者を介した仲介で、当社とは直接面識のない売り主様でした。すぐに解決出来る問題で良かった、と思います。先方の顔を見ていない取引の怖さを思い知らされる出来事と言えました。
知り合いから聞いた話では、トイレの便器を持って行かれてしまった買い主様もいるとのこと。そんなの持って行ってどうするの、という感じですが、実話なのです。 当社が直接売り主様とお話しする場合は、付帯物についての説明も必ず行い、双方誤解のないようにするのですが、短期に転売される物件では相手側業者を信頼するしかなく、まれにこのような事態となってしまいます。
仲介業者同士は信頼でつながっているだけでなく、それぞれが正しく務めを果たしていないと、迷惑を被るのはお客様である、ということを改めて実感させられるエピソードでした。
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