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中古住宅の購入トラブル

中古物件の資料には必ず「現況」という項目があります。ここが「空き家」となっていると、オープンハウスが行われたり、業者を伴って余裕を持って見学できたり、というメリットがあるのですが、やはり中古物件の場合は「買い手が現れるまで住んでいたい」という所有者も多いため、現況「所有者居住中」という所が良く見受けられます。

今回は、そんな「居住中」物件をご購入される際、特にお気を付けいただきたい点についてお話しようと思います。

居住中の物件は何が厄介かというと、まず、住んでいる人の荷物や家具がそのまま入っているので、床や窓、壁などの状態を判断しにくい点がひとつ。そして、現在その物件で生活している人が居る、という先入観から、良く良く観察すれば発見できるような瑕疵(かし)に気付きにくい、という点があります。

生活用品に囲まれた玄関や子ども部屋は、それなりに「暮らしていけそう」な物件に見えてしまいます。更に、現所有者が普通に感じのいい人だったりすると、細かい部分にケチをつけるような見方をすることが、心情的にはばかられてしまう、ということもあります。

一緒に物件を見た不動産業者の発言や印象も、そうした流されやすさに輪をかけます。どう見てもここはちょっと、というような瑕疵があっても、プロの仲介業者が、

「これくらいなら問題ないですね」

と言えば、そういうものかな、と納得してしまうお客様もいらっしゃるからです。それは私どもからすれば、声を大にして、ちょっと待った!と言いたくなる瞬間です。

皆様に、契約に進まれる前に冷静な目で物件を良く良く見ていただきたい、と申し上げるのには、ちゃんと理由があります。

不動産物件の契約内容には、「引き渡し後二ヶ月以内に、記載されている項目に問題が発生した場合は、その補修費用を売り主が負担する」という項目が盛り込まれています。これを、売り主の瑕疵担保責任といいます。

しかし、ここには盲点があります。そもそもここで保証される瑕疵というのは、「ちょっと注意して見ただけではわからないような欠陥」を指すのです。 つまり、よく観察すれば気付いたような不具合を保証してもらうことはできません。例えば窓のがたつきやガラスの破損といった「わかりやすい不具合」は、売り主に課せられる瑕疵担保責任には含まれてないということなのです。

ただ、後で気付いた不具合を仕方なく自費で工事を発注するような場合も、一応は諦めないで、工事業者に修理箇所を記録してもらうことをお勧めします。事前に専門家による現地調査を依頼しておくのも良いと思います。

なぜなら、修理箇所が建具のがたつきや壁のひびだったとしても、その根本原因が瑕疵担保項目にある「主要構造部分についての木部の腐蝕」かもしれないからです。その場合は瑕疵担保責任を追求できる可能性もあるので、証拠を残しておいたほうがいいということです。常識の通用する売り主なら、仲介業者を間に入れて冷静に交渉すれば、費用の負担を飲んでくれる可能性もあるでしょう。

もちろん一番いいのは、最初から十分に物件を吟味して、その場のムードや業者の言葉に流されないようにするという事です。
特に中古の物件をご購入される際は、

「業者さんが何も言わないなら、大丈夫なのかなあ」

といった考え方は捨ててください。

わからないことを質問するのは、ちっとも恥ずかしいことではないのですから、なんでもどんどん聞いて、確認して、遠慮なく仲介業者を走らせていただきたいと思います!



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