不動産購入トピックス

そっと教える!
知っ得テク・知識

タブー連発!?
業界の舞台裏
担当者がそっと教える知っ得テクニック・知識
契約解除アレコレ

今回は、契約の解除の話についてです。
不動産売買契約を締結した後も、次の要件に該当した場合は、売り主様、買い主様ともに、契約を解除できるようになっています。
少し専門的な話になりますが、一度でも目を通しておくと安心できるかもしれません。


1.手付解除

売買契約の際に定める手付金には、契約不履行の際に何らかの賠償を求める「証約手付」「違約手付」と、条件さえ満たせば契約解除の可能な「解約手付」の3つがありますが、手付金交付の際、どの手付金に当たるかを定めていなかった場合の手付金は、すべて民法上「解約手付」として位置づけられることになっています。

そして「解約手付」とは、契約の成立後、当事者の一方が「契約の履行に着手」するまでは、売り主は手付金の倍額を買い主に返還、買い主は売り主に交付した手付金を放棄することにより契約を解除できる、とするものです。この場合の解除理由に制限はありません。

ただし「契約の履行の着手」の解釈基準は不明確であるため、一般の売買契約書では、売り主、買い主が合意した手付解除期日を明記して、その期日または第一回の内金支払い日のどちらか、先に到来する期日までは互いに解除権を認める、という内容となっています。

※ なお宅地建物取引業者が売主の場合は、手付解除について以下の制限があります。 
  1)手付金の額は、売買代金の2割を超えることはできません。
  2)手付は民法に定められた解約手付としなければなりません。


2.引渡し前の滅失等による解除

引渡し前の滅失とは、売買契約締結後、対象不動産が売り主から買い主へ引き渡される前に、天災地変(火災、地震、台風など)等によって文字通り消えてしまったり、使用できない状態になってしまうことをいいます。

業界の統一売買契約書においては、天災地変等による対象不動産の滅失または毀損(一部の滅失)があった場合は、売り主、買い主は売買契約を解除するか続行するかを選択できることになっています。
なお、契約を続行する場合は、対象不動産の毀損箇所については売り主に修復義務が発生します。

また、天災地変等により対象不動産が滅失または毀損し、売買契約が解除となったときは、速やかに売買契約を契約前の原状に回復することが必要です。売り主は買い主から受領した手付金等の金銭を全額返還しなければなりませんが、この場合、違約金の発生はありません。

3.契約違反による解除

売り主、買い主いずれかに契約違反があったとき、違反した方に対して相手方は一定期間内に契約の履行を促し、応じない場合には売買契約の解除を通告できます。
また、このように契約違反によって売買契約が解除されたときは、違反者にその解除によって生じた損害を賠償請求することもできます。

しかし、その損害のうち、どの部分が契約違反によるかを証明するのは困難です。そこで、業界の統一売買契約書では、あらかじめ損害額を一律「売買代金の20%」相当額と決め、これを違約金としています。
実損害がたとえ前記20%を上回っても、下回っても、その差額は売り主、買い主双方とも請求できないことになっています。また、売り主、買い主は違約金を請求するにあたって、実損害額の発生等の証明をする必要はないとされています。

なお、契約違反によって売買契約が解除になったときの違約金は、次のとおり清算します。

1) 売り主の契約違反による解除の場合
売り主は、買い主から受領した手付金等の金銭と違約金相当額の合計額を、買い主に支払います。

2) 買い主の契約違反による解除の場合
売り主が買い主から受領した手付金等の額が違約金相当額より多い場合は、売り主はその差額を無利息にて買い主に返還します。反対に違約金相当額より少ない場合は、買い主は売り主にその不足額を支払います。


4.特約による白紙解除

(1) 融資利用の特約による解除
不動産を購入する際は、金融機関等(社内融資含)の融資(住宅ローン)を利用する場合が多いのですが、売買契約の締結時点では、確実に融資を受けられるかどうかはわかりません。そこで、万が一融資が受けられなかった場合(減額の場合も含)、買い主は債務不履行(契約違反)となってしまうので、買い主の責によらず融資の承認が得られないときは、買い主は売買契約を解除できるとするのが一般的です。

このため、業界統一の売買契約書では、買い主が売り主に解除通告できる期限を売買契約書に記入し、融資が受けられない場合、買い主はその期限をもって売買契約を続行するか解除するかを選択するのです。解除する場合は、その期限までに売り主に解除する旨を通告することになります。

(2) 譲渡承諾の特約による解除
この特約が必要となるのは、売買対象不動産の土地利用権が賃借権の場合です。
賃借権は、土地所有者から土地を借りて利用する権利の一つですが、この賃借権を第三者に譲るときは土地所有者の承諾が必要となります。
仮に、土地所有者の承諾を得ず譲渡すると、土地賃貸借契約は解除され、土地所有者から土地の明渡しを請求されてしまうことになるのです。

そこで、業界統一売買契約書では、売り主が合意した期限までに土地所有者から譲渡の承諾を得られない場合、売り主は売買契約を解除できるとされています。

(3) その他の特約による解除
売り主、買い主の合意により、ある一定の要件に該当することになった場合、売買契約を無条件に解除できる特約を付す場合があります。
その代表的なものが「買換特約」「第三者からの許可」「承諾の特約」です。

(4) 解除の手続と効果
上記の特約により売買契約が解除となった場合は、売買契約前の原状に回復する必要があり、売り主は買い主から受領した手付金等の金銭を全額すみやかに返還しなければなりません。この場合、違約金は発生しません。

なお、特約により解除された場合は、その証として覚書などの書面を作成するのが一般的です。



契約当事者が死亡した場合 | Page 13 of 65 | いい業者・悪い業者・ふつうの業者
イメージ

PageTop