ヤリ手業者には裏がある?
不動産仲介業者にとってもっとも必要とされる資質、 それは「仲介手数料の誘惑に負けない事」につきます。 例えば、本音は買うべきでは無い、又は売るべきでは無いと思っていても、 それを助言することで何十万円もの仲介手数料を棒に振る結果を考えると、 つい躊躇してしまいがちですが、 その時手数料の誘惑に負けずに言うべき事を言えて初めて、 仲介の仕事をする資格があると当社では考えています。 それが出来なくなったら、この仕事はやめてしまった方が良いのです。
世間のイメージとは反して(?)、実際この業界には、人として非常に尊敬できる方や、 真面目に仕事に向き合っている人が多いです。 それは、やはり仲介業者として会社の利益(仲介手数料の魅力)と、 仕事に対しての誇りの狭間で精神を日々鍛えられているせいもあるのでしょう。 しかし、そうでない業者ももちろんいます。
モラルの有る業者とモラルの無い業者で両極端なのが、 この業界の特色といえるでしょう。 裏返せば、信用で飯を食うか、貪欲に企業利益につっ走るかでないと、 成り立たないのだと思われます。 そこそこ真面目でそこそこ信用があるような中途半端な業者は、 この不動産不況の時代では生き残っていけないからです。
なぜそう結論づけるかというと、事実この業界は、 業者間で相互協力して仲介をしているグループ(Aグループ)と、 完全に一匹狼で他の業者との連携を取ろうとしないグループ(Bグループ)とに、 分けることができるのです。
Aグループは、信用が全てです。複数の業者と共同で仲介するケースも多く、 それだけに、信用が無いと誰もその業者と共同で仲介しようとは思いません。 なぜなら、共同仲介の場合、1社の調査ミスや不適切な行動は、 共同仲介する全ての業者が連帯して責任を負わなければいけないからです。 1度トラブルになると、賠償額がけた外れ(数百万、数千万)なのがこの世界ですので、 信用のできない業者との共同仲介は、できれば避けたいと言うのが本音です。
一方Bグループの業者が何故一匹狼で生き残れるかというと、 このグループの業者は徹底して、物件情報を他の業者に提供せず、 あくまでも売り側の仲介も買い側の仲介も、 両方直接自分だけでやってしまおうという方針で仲介します。 ですから、どんなに業者としてのサービスが悪くとも、 理不尽な契約条件を突きつけられても、 その業者の取扱物件は、その業者を通してしか購入できませんし、 一度その業者に売却依頼をした売主も、その業者の斡旋する買い主としか契約できません。
依頼を受けた不動産を業者が意のままに処分できるので、 まさに業者の思うつぼです。 さらに、一度の契約で、両方から確実に手数料をもらえるわけですから、 利益効率はすこぶる高いわけです。
今から10年前位までは、どちらかと言えば、Bグループに近い業者がほとんどでした。 なぜなら、土地神話により、圧倒的に売り手市場で、 売り手(売り物件)をつかんでしまえば、買い手など何処にでもいるという状況だったからです。 昔からの業者の話を聞くと、今では考えられないような話が出てきます。 例えば、広告を売った物件に問い合わせがあると、 電話で場所を説明し(物件資料など面倒で作らなかったそうです。)、 「勝手に見に行って、気に入ったら10万円の申込金と印鑑持って事務所まで来てくれ」 と言うだけで、契約がポンポン勝手に決まっていったそうです。 また、あまりに問い合わせが多い物件だと、 売値から更に買い手にふっかけて、価格をつり上げたところで、 上乗せ分は、業者が懐に入れてしまうということも少なくなかったそうです。 契約前の調査もいい加減で、 「心配なら買ってくれんでいいよ」の一言で済ましてしまう始末。
その結果どうなってしまったかというと、不動産業者のイメージは最悪で、 反感や不信感をもっともあたえる業種の一つとして、未だに抜け出せません。 さらにその当時の方針を頑固にも貫き通しているBグループのような業者が、 今でもいるのが現実なのです。
皆様は、このような業者には本当に気を付けてくださいね。
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